286 将来計画及び運営方針
5-6 系・施設の在り方等の検討を踏まえての現状報告
平成17年度前期に分子研の今後の進むべき方向とその受け皿となる研究体制(特に研究系及び施設の在り方)を 探るために系・施設の在り方等検討委員会が設置され,各事項について現状,基本提案,参考意見をまとめた。その後, 主幹施設長会議,教授会議等で議論を進め,平成18年より順次,実行に移している。ここではその現状を報告する。
5-6-1 研究系の在り方
(1) 平成19年度より現在の研究系は廃止し,分子科学を広い視点で捉えることができるように分子研全体で研究領 域(従来と違う意味での“ 研究系” である)4つにまとめることにした。具体的には理論・計算分子科学研究領域, 光分子科学研究領域,物質分子科学研究領域,生命・錯体分子科学研究領域である。関連施設センターを含めるとそ れぞれ約10研究グループから構成される。288 ページの組織図を参照のこと。
(2) 研究主幹(研究領域主幹)は4人と少なくなるが,所長とともに研究所の重要事項を検討する執行部的な組織と しては適正規模となる。各研究領域の代表である研究主幹の意識次第ではあるが,このような組織作りによって法人 化によるトップダウン傾向の弊害をさけうるボトムアップ的要素を盛り込むことが出来る。新体制で研究主幹に加え て,研究総主幹あるいは副所長が必要かどうかは,別途,その選考方法と位置づけから考え直す必要がある。 (3) 研究領域を構成する研究部門については,3グループ程度で1研究部門を構成するようにした。
(4) 岡崎共通研究施設である岡崎統合バイオサイエンスセンターと計算科学研究センターに属する分子研関連の研究 グ ル ー プ は そ れ ぞ れ 分 子 研 の 各 研 究 領 域 内 に 併 任 で き る よ う に 平 成 19 年 度 よ り 適 切 な 研 究 部 門 を 設 置 す る こ と に なった。
5-6-2 施設の在り方
(1) 平成19年度に再編される各研究領域は,研究部門と関連施設から構成されている。同じ研究領域に属する各研 究部門が積極的に施設の活動に連携協力する。施設は本来,所内研究者に異動があろうとも分子科学コミュニティ(所 内を含む)に対して高度な研究支援業務を継続的に行うところであり,それが構造的に難しくなっている施設はその 施設が属する研究領域が中心になってその組織を早急に立て直す必要がある。例えば,光分子科学研究領域に属する レーザーセンターは U V S O R と共同して光分子科学における高度な共同利用を目指す。各施設に所属させる専任研究 職員については,原則的に同じ研究領域の中での配置換えでの対応で考える。専任以外に所内併任も考える。 (2) 平成19年度より,機器センターを改めて設置する。研究所創設来,所内外の研究者の支援をしてきた施設の流 れから見れば,ナノセンターは,極低温センター,化学試料室,旧機器センターの機能を引き継ぐ立場にあるが,こ れら旧来の機能はナノセンター所属の研究者が進む方向とは必ずしも一致していない。現在,ナノセンターでは弱体 化しつつある極低温センター,化学試料室,旧機器センターの機能を改めて機器センターで強化発展させる。当面, 機器センターは装置開発室と同様に研究職員を置かず,技術職員だけで構成されるため,研究領域に関連づけること はしない。
5-6-3 IMS フェロー制度
(1) IMSフェローの質を上げるための待遇改善(他のポスドク枠との競争)の必要性は認識しているものの,具体 化については検討が進んでいない。
将来計画及び運営方針 287 (2) 所長から配分される研究費(ポスドクの人件費・研究費に対する支援がある程度含まれているとする)によって, 各リーダーの自律的判断で,随時,雇用(自然科学研究機構の雇用条件に従う)してよいものとする提案については, IMSフェローの配分保証のない助教授層からは強い支持があったが,人件費削減や予算確保の難しさ等の理由で実 現には至っていない。
5-6-4 助手制度
(1) 教授に助手2名を配分(60歳越えの教授は従来通り1名だけ配分)することについては助教授層からも理解を 得ていたが,人件費運用の観点で所長の決定にまではなかなか至らなかった。しかし,運営費交付金の年 1% 削減方 針についてこれまでは物件費と人件費の区別がなかったのが,区別することになったため,人件費枠内での運用を考 えなければならなくなった。そのため,平成18年度から教授に助手2名を配分することになった。2人目の助手の 配分の順番については所長が決める。
(2) 現在,教授数と助教授数は同数であり,この数を保ったまま教授のすべてに助手2名を配分することは長期的に は不可能である。分子研は流動性が高く,研究者の平均年齢は年に依らずほぼ一定になっているが,人件費の年平均 1% 削減が続く限り,実質的に研究グループ数を減らす必要がある。分子研の使命の一つである学問の動きを的確に 捉えて分子研で花を咲かせて,それを大学に伝えていくためには,助教授(教授よりも流動に貢献している)の割合 を相対的に増やす,つまり,3研究グループ構成が基本となる研究領域を構成する研究部門で順次,助教授グループ の割合を増やす必要があるかも知れない。
5-6-5 併任制度と客員制度
(1) 各研究領域に定員を定めない客員研究部門(外国人客員部門や先導分子科学研究部門を含む)を置き,同じ研究 領域の専任研究部門及び施設で話し合って研究分野を定めて公募することになった。
(2) 外国人客員教授・助教授については資格審査を主幹施設長会議で行い,各グループの研究員的な外国人研究者に ついては客員教授・助教授としては取り扱わないことになった。
5-6-6 分子研 O B とコミュニティ
(1) 組織として“ 卒業生” に対して何ができるかを考えた場合,そのひとつの案として分子研レターズという場を活 用することになった。若い世代に分子研に対する愛着を持ってもらうには,分子研の研究活動や今後の進んでいく道 を“ 在校生” と“ 卒業生” が協力して伝えることが重要である。
(2) 今は大学共同利用機関として分子研がいろいろな研究分野のコミュニティに果たす義務というものを改めて見直 す時期である。この観点では,所内的に分野横断的な情報交換が不足気味なのも是正する必要がある。予算が削減さ れたため中断していた岡崎コンファレンスはその重要性を勘案し,平成19年度より再開することとした。
(3) 総研大の宣伝が主目的の分子研オープンハウス(5月〜6月のいずれかの土曜日の午後)に連動させる形で,前 日金曜日の午後から土曜日の午前に分子研OBや総研大卒業生の講演会(分子研シンポジウム)を開催することにし た。また,オープンハウスのガイダンスでは総研大の紹介に加え,分子研の共同研究体制等についても紹介すること になった。院生ばかりでなく助手など若手研究者の参加も募る。
(4) 平成20年度より大学院生自身が申請代表者として提案できる研究会等の企画を支援する共同研究の枠組みを作 るべく,検討が始まっている。分子科学関連の各分野の若手の会や夏の学校の支援も含む。
288 将来計画及び運営方針 組織再編
I.理論・計算分子科学研究領域[研究主幹]
・理論分子科学第一研究部門
・理論分子科学第二研究部門
・計算分子科学研究部門(一部併任)
・理論・計算分子科学研究部門[客員]
計算科学研究センター(岡崎共通研究施設)
II.光分子科学研究領域[研究主幹]
・光分子科学第一研究部門(一部併任)
・光分子科学第二研究部門(一部併任)
研究組織 ・光分子科学第三研究部門
・光分子科学第四研究部門[客員]
極端紫外光研究施設
・光源加速器開発研究部門
運営顧問会議 ・電子ビーム制御研究部門
所 ・光物性測定器開発研究部門
・光化学測定器開発研究部門
長
分子制御レーザー開発研究センター
運営会議 ・先端レーザー開発研究部門
[研究総主幹] ・超高速コヒーレント制御研究部門(併任)
・極限精密光計測研究部門(併任)
III.物質分子科学研究領域[研究主幹]
・電子構造研究部門
・電子物性研究部門
・分子機能研究部門
・物質分子科学研究部門[客員]
分子スケールナノサイエンスセンター
・ナノ分子科学研究部門
・ナノ計測研究部門(併任)
・ナノ構造研究部門(併任)
・先導分子科学研究部門[客員]
IV.生命・錯体分子科学研究領域[研究主幹]
・生体分子機能研究部門(一部併任)
・生体分子情報研究部門(一部併任)
・錯体触媒研究部門(一部併任)
・錯体物性研究部門
・生命・錯体分子科学研究部門[客員]
岡崎統合バイオサイエンスセンター(岡崎共通研究施設)
・戦略的方法論研究領域
・生命環境研究領域
研究施設 極端紫外光研究施設[施設長]
分子スケールナノサイエンスセンター[センター長]
分子制御レーザー開発研究センター[センター長]
機器センター[センター長]
装置開発室[室長]
計算科学研究センター[センター長](岡崎共通研究施設)
岡崎統合バイオサイエンスセンター(岡崎共通研究施設)
安全衛生管理室
広報室
史料編纂室
技術課
[註]外国人客員と研究施設客員はそれぞれの研究領域の客員部門で対応する。ただし、分子 スケールナノサイエンスセンター客員は先導分子科学研究部門で対応する。また、研究部門 間の併任は、研究領域を跨ぐことも可能であり、適宜、人事流動等に応じて見直す。